株式会社富士通アドバンストソリューションズ
3. 「心配り」の積み重ね(1)働きやすい環境づくり2005年入社の吉田真也さんも車いすの利用者。人事部で従業員の通勤費や出張費などの管理を担当している。富士通アドバンストソリューションズを選んだ動機は「会社の雰囲気が良かったから」。実際、入社してみると、障害者が健常者と一緒に普通に働く様子に新鮮な驚きを覚えたという。 「つまり働きやすい環境づくりができているからなのです。事務所の通路は広くとってあるし、プリンターなどは低い位置に置いてあり、車いすの人でも無理なく利用できるようになっている。僕はクルマで出社するんですが、駐車場ではビルの出入口の一番近い場所に障害者専用の駐車スペースが確保されているので、これにはとても助かりますね」 昨年はセキュリティ強化のため、本社のすべてのドアがICカードをかざすと開錠される仕組みとなったが、車いす利用者がいる部屋のドアにはレバーハンドルを押し開けるのではではなく、タッチ式のスライド自動ドアが設置された。 ![]() タッチ式のスライド自動ドアは、レバーハンドル式の手動ドアに比べ、車いす利用者にとっては格段に使いやすい。写真は吉田真也さん。
さらに「小さいことかもしれませんが…」と付け加える吉田さん。 「各部署に配られるお弁当を置く場所を僕に合わせて低い机に変更してくれたり、喫煙ルームで灰皿をさりげなく手渡してくれたり…、ささいなことかもしれませんが、ありがたい心配りは数えきれません。しかも誰もがそれを自然に、意識せずに行動している。その雰囲気がうれしいですね」 富士通アドバンストソリューションズで働く障害者の離職率は極めて低い。このことは、彼らが働きやすい環境づくり、社内の意識づくりが整えられていることの証といえよう。 (2)健康管理にも配慮入社してから、吉田さんは車いすのまま長時間同じ姿勢で仕事をするという事務職を初めて経験した。その1年後、本人にも自覚がないまま、いわゆる床ずれ(褥瘡)の症状が悪化して入院、手術という事態に陥った。 このことを重く見た人事部は、すぐに他の部署で働く車いす利用者とその上司に連絡し、同様の例がないか調査。幸い吉田さんと同じ症状を訴える障害者はいなかったが、長時間同じ姿勢で車いすに座り続けることが、いかに彼らに負担をかけるかを改めて知ったという。そして車いすの利用者は、午前10時と午後3時に社内の健康保健室に行き、ベッドに横たわって圧力を取り除く姿勢で休憩することを義務づけた。 「僕の場合は吉田さんほどの症状は出ませんが、年齢を重ねていくにつれ、長時間同じ姿勢をしているのがつらくなってきたなぁという実感はありました。ですから症状が悪化する前にこのような改善を行ってもらったのは、正直助かります」と鈴木さん。 休憩時間が設置されたことと、また、「自己管理もしっかりやろう」と心がけるようになったことで再発が防止されているという吉田さんも、「実際、障害者の側から仕事中に『休憩させてくれ』とは言いにくいものです。僕の例が他の障害者の方に少しでも役に立ったのなら良かったです」。 いくら配慮しても健常者には気づけない点もある。障害者からのメッセージを真摯に受け止め、再び問題を起こさないための手を早め早めに打つことが重要だ。 |