障害者助成金活用事例  No.113
外部講師を招請し実施した社員の能力開発及び人材育成研修会において、手話通訳を配置し聴覚障害者の負担軽減に配慮した事例

1.  課題

当社は、全常用雇用労働者数41名の印刷会社で、県内の芸術短大を卒業し平成8(1996)年に入社した聴覚障害2級及び音声・言語機能喪失3級とする障害者が1名、校正の業務に従事している。

当社では社員のスキルアップのため、毎年、半日程度の社員研修会を開催しており、対象障害者を採用して以降の社員研修会では、ハローワークの手話協力員をされている手話通訳士のお世話になっていた。

しかし、平成24(2012)年6月9日に行なった社員研修会では外部講師を招請し、社員の能力開発及び人材育成をテーマに全体研修会を行なった。時間も午前9時から午後5時までと長時間の研修会であったため、従来の手話通訳士の要請も困難な状況となり、別途、手話通訳担当者を依頼する必要があった。


2.  課題解決の工夫・取り組み

社員研修会は社員のスキルアップを図ることを目的に毎年実施しており、全員参加が必須である。特に、個人情報保護に関して一定の要件を満たした事業者に与えられる「プライバシーマーク(Pマーク)」(※)の取得に際しては、延べ3年に渡って研修会を実施した。

(※) 日本工業規格「JISQ15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を認定して、その旨を示すプライバシーマークを付与し、事業活動に関してプライバシーマークの使用を認める制度

対象障害者との社内でのコミュニケーションは、入社して間がない時にフイルム校正の業務に就いた時は暗室での作業が多く、同僚とコニュニケーションをとるにあたって、いちいち明るい場所に移動をする必要があった。今では笑い話ですむような話であるが、現在の日常の業務は文字の校正という業務の性格上、筆談や障害者本人の読唇能力で、業務に支障を及ぼさない程度の理解ができるため、特段の配慮は無用である。しかしながら、研修会においては正確に内容を理解してもらうこと、研修会を円滑に進行すること、障害者本人が研修会に参加することに負担を感じて後ろ向きになることが無いよう配慮をすること等が必要である。


3.  取り組みの効果

今回の研修会においては、グループワークを実施したが、対象障害者は講師の心配をよそに、優れた発想で同者が参加するグループの優秀な成果に貢献し、講師から高い評価の論評をいただいた。そのことに対して対象障害者は喜び、社長を始め周囲へ感謝の念を捧げた。その結果、益々モチベーションを高く持って日々業務に勤しんでおり、現在は、同じ業務に就く上司の指導の下、「校正」から「校閲」へとスキルアップを図っている。

また、会社としても社員研修会等の特別な行事に当たっては必要に応じて、今後とも手話通訳担当者の委嘱助成金の活用を検討している。


4.  活用した助成金

障害者介助助成金(手話通訳担当者の委嘱助成金)を活用した。本事例の社員研修会時の手話通訳担当者に支払った委嘱費について1回受給し、助成金受給額は24千円であった。この助成金は、原則として、対象障害者のために初めて委嘱した日から10年間の間の委嘱について受給できる(注:1年間を超えて支給請求又は継続の意思表示がなかった場合は支給期間が終了する等の要件がある。)ので、その期間内で手話通訳担当者の委嘱が必要となる行事があれば、その委嘱費について当該助成金による支援が受けられる。


社員研修会の様子
社員研修会の様子
社員研修会の様子


協力事業所:吉岡印刷株式会社


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