医療法人社団敬愛会

3. 取組みの効果、課題と今後の展望

(1)取組みの効果

今回雇用した障害者が担当した業務は、当事業所の中で「チャレンジド業務」と呼ばれている。チャレンジド業務を開始するに当たっては、各病棟の看護師長へ周知を図り、3人が気軽に話がしやすいようにと看護助手の中にキーパーソンを置くようにした。

「最初は、どう接して良いか分からないと思っていたが、コミュニケーションを取ることは可能であることが分かった」、「無理をさせないようにと思い、環境整備はやれる所までで良いと言ったことが逆にプレッシャーとなり、ここまでするようにと具体的に指示を出した方が良いことも分かった」、「指示された仕事は最後まで行い、報告できることも分かった」、「3人の働きぶりを目の当たりにして、自然と現場のスタッフの見方が変わっていった」と光武看護部長と木塚看護師長は語る。最初の頃の現場の戸惑いや不安が障害者への理解に変わり、共に働くという意識が芽生えたことの表れである。

また、「専門職が行う本来業務と他に任せられる業務に分けたことで、本来業務に集中できるようになり、患者のベッドサイドに行ける時間が増えた」、「チャレンジド業務の中に病室の環境整備を位置付けたことで、清潔な環境がより維持できるようになった」とも言われる。サービスの向上にもつながっていることが窺える。


(2)課題と今後の展望

  1. 当面の課題

    当事業所としては、今回の取組みから各階病棟病室の環境整備を、主として障害者に担ってもらいたいとより強く考えるようになった。最終的には、雇用を増やしてチャレンジド業務の体制を拡大し、雇用も体制も定着させることが目標である。取材中も聴覚障害者が職場実習を行っており、その後トライアル雇用となった。現在、ハローワーク、障害者就業・生活支援センターに加え、障害者職業センター(ジョブコーチ支援)とも連携しているが、今後は障害者雇用が拡大するにつれて障害種別も多様化することが予想されるため、当事業所の受け入れ体制の強化と、雇用の定着につながる働きやすい環境作りがさらに求められるであろう。

  2. 今後の展望

    佐賀県における障害者雇用の推移を見ると、近年、特に医療・介護分野への就労割合が高くなっている。一方で、医療・介護分野の業務は主に専門職が行うという性格上、障害者雇用のための職域の切り出しが社内的に理解を得られにくいという状況もある。

    鈴木統括事務部長は「障害者雇用を拡大できる可能性はあり、障害や作業の内容によって事務業務や厨房での業務も考えられる」とのこと。「看護業務の中で、看護師が測定した血圧等の入力をしてくれる人がいたら助かる」と話すのは光武看護部長。チャレンジド業務と名付けられた今回の障害者雇用への取組みは、確実に当事業所の自信につながっている。今回のチャレンジド業務での取組みが当事業所における障害者雇用の基盤となり、他の部署での職域開発といった次なる挑戦へつながっていくことを期待したい。

執筆者: 特定非営利活動法人ステップ・ワーカーズ
障害者就業・生活支援センターワーカーズ・佐賀  生活支援員  船津丸  涼子
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