社会福祉法人さゆり会

3. 取組の内容と効果

(1)Aさんの精神障害者社会適応訓練からパート雇用までの経過

精神障害者社会適応訓練は、平成22(2010)年12月より、1日5時間程度の仕事で訓練を開始した。

業務内容としては、デイサービス利用者の入浴後の整髪・整容・室内の清掃に従事した。訓練開始当初は、職員が付いて指導を受けながら業務を行い、業務内容を覚えることと、本人の不安の軽減を図った。また、ジョブコーチ、事業所職員、本人との話し合いを毎月実施した。

この時点で問題となったのは、利用者や職員とのコミュニケーションがうまく取れないということであった。解決策としては、指導担当職員を選任し、早期に信頼関係を作り、コミュニケーションが取りやすい環境を作ることとした。その結果、本人がわからないことや不安に思うことを指導職員に話すことができるようになり、他の職員や利用者とも良い人間関係を保つことができた。

もう一つの問題点は、服薬の関係上、体力的に5時間の継続勤務が難しいということであった。これについては、午前中3時間の業務の後に休憩時間3時間を設け、午後からの勤務を2時間にするという方法を取った。

訓練終了後、トライアル雇用を経て、パート職員となるころには、自ら進んで利用者や職員に話しかけられるようになった。その結果、当初業務になかったリハビリチェック表の記入・手指の消毒の介助・入浴の準備等を行うことができるようになった。現在では、施設行事や仕事以外でも交流の場を作ることにより、利用者及び職員との信頼関係が構築され、当事業所にとってもなくてはならない存在となっている。


(2)Aさんの日課と業務内容

午前9時 出勤
・入浴準備
・利用者の手指消毒の手伝い
・利用者へのお茶出し、湯飲み茶碗洗い
・利用者の整髪・ひげそり・水分補給の手伝い
・リハビリチェック表への記入
・昼食前の手指消毒の手伝い
・配膳
午後0時 一旦帰宅
午後3時 出勤
・おやつ・お茶出し
・入浴物品の後片付け、翌日の入浴準備
・フロア掃除(掃除機・モップ掛け)
午後5時 帰宅

(3)Aさんをはじめとする障害者の雇用について

Aさんを雇用するということに対して不安がないわけではなかった。『どこまで仕事ができるのだろうか』、『どのように指導すればよいのだろうか』と雇用に対して消極的であったし、実際のところ、雇用当初は戸惑うことも多かった。しかしながら、精神障害者社会適応訓練開始から今日まで、『働きやすい環境つくり』を事業所の方針の一つとして推し進めてきたことが、Aさんの就労継続につながっている。また、Aさん自身も自信の回復と周囲からの信頼によりさらなる仕事に対する意欲の向上につながったのではないだろうか。今後、自立した生活を送ることを目標に仕事に励んでもらいたい。

『障害』という言葉にとらわれず、これからもその人の持っている力を十分に発揮することができるような『働きやすい環境』を作っていきたいと思う。


作業風景
作業風景

執筆者:社会福祉法人さゆり会  本部事務担当  村中  康弘
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