株式会社ベジタブル・ウェル

2. 障害者雇用の現状と経緯

(1)障害者の配置と従事業務

ベジタブル・ウェルで常時勤務している従業員は13名(役員を除く)。うち障害を有しているのは11名で、いずれも軽度の知的障害である。

全員、ベビーリーフの検品、ブレンド、計量、袋詰めという一連の軽作業に従事している。ベビーリーフは7~8種類の野菜をミックスして商品化される。別々の栽培施設で生産されたものを作業場のテーブルの上でブレンドしながら検品していくのである。


①検品
①検品

②袋詰め
②袋詰め

③袋詰めから計量へ
③袋詰めから計量へ

④パッケージング
④パッケージング

(2)障害者雇用の経緯

ベジタブル・ウェルが設立されたのには、親会社であるベジタブル・ユーの小原代表の次男が知的障害を負っていたという背景がある。

養護学校(現在の特別支援学校)から企業に就職したものの、うまくいかない。小原代表は、同じく地元の農業者でもありベジタブル・ユーの経営スタッフでもあった鶴上氏に相談した。

「せっかくベジタブル・ユーという会社があるのだから、ここで雇用してみたらどうだろう」ということになり、入社する運びとなった。袋詰めやシール貼りを担当させてみると、スピードも障害のない社員と変わらない。「これならやれそうだ」と確信を得た。

「やるなら、障害福祉サービス事業の就労継続支援事業所ではなく、一般の事業所として立ち上げ、軽度に限られるが知的障害を持つ人を広く雇用できれば、地域への貢献にもつながるのではないか、と考えたわけです」と、鶴上社長は語る。そして「ベジタブル・ユーの就労環境は従来型の地域農業のスタイルでした。障害者雇用に合った雇用契約や就労環境を整えられるように、別会社を立ち上げた方がよいだろう。そう判断したのです」と。


(3)採用と指導

ベジタブル・ウェルでは、採用に当たってまず研修を行い、次に面接に進む。研修の内容は「袋詰め」作業で、その仕事ぶりで適性を判断する。研修の期間は高校などの規定に合わせ、通常2~3週間である。

入社後は、現場で指導を受けながら仕事に慣れていく。まず入社初期ではジョブコーチによる指導がある。「働く」ということを覚えるためにジョブコーチの果たしている役割は大きい。以後は、障害のない社員2名が作業について具体的な指導を行っていく。

もっとも、ベジタブル・ユーの作業施設内での受託業務なので、ベジタブル・ユーの従業員たちといっしょに働いているといってよい。事業としては別会社だが実際には協働しており、障害のある社員をみんなでサポートしているのだ。


(4)退職者と障害者雇用の問題

2年間で退職したのは1名のみである。仕事中のコミュニケーションが原因で、「やめたい」と言い始めた。ちょっと強く叱られたという程度のことで、家族からも考え直すように説得したのだが、退職の意志は覆らなかった。鶴上社長は語る。

「彼の性格としては、がまんできなかったのでしょう。できるだけ気持ちを汲んであげたかったが、共同作業ですからね。」

もう1人、現在やめたいという者がいるという。友人たちの影響を受けているようだ。グループホームで一緒に暮らす友人たちに就労継続支援A型事業所勤務者がおり、彼らと比べて「自分はがんばっているのに給料が彼らと変わらない。だったら楽なところに行きたい」と。学校の先生たちも「一般企業に勤めるチャンスなのだからがんばりなさい」と諭すのだが、親しい友人の影響力は強い。

鶴上社長は「一人ひとり性格も家庭環境などの条件も違う。企業がどこまで本人たちに寄り添っていくべきか、現実には問題は多々ある。但し、全員とうまくいくということはない。これは障害があってもなくても同じです。問題を克服していけるメンバーが残っていくのだろうし、いっしょに克服していける人を雇用していきたい」と語る。


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