山下医科器械株式会社  佐賀支社

2. 取組み内容

(1)職場実習から採用へ

佐賀県が推進している障害者雇用施策事業「チャレンジドと企業の架け橋事業」で、「働きたい」と願う障害者の就労の機会を広げるため、県では就労支援コーディネーターが企業を訪問して障害者雇用を働きかけている。この一環で当事業所にも受入れ依頼があった。これに続いて障害者の紹介があり、1週間の職場実習を行うこととなった。

同時に、当事業所として初めての障害者の受入れ、それも発達障害者であったことから、支社長が当人を支援している障害者就業・生活支援センターの担当者から、汎用性発達障害の障害特性や周囲が関わる際に配慮する事項についての説明を受け、その後支社長から従業員に発達障害に関する説明を行い、受入れに対する理解を求めた。

職場実習中の当人の状態や周囲との状況を観察した結果、雇用にはなんの問題もないと判断され、また、前述のとおり、発達障害者だったことから施設の改修といった職場環境の整備の必要がなかったこともあって、職場実習終了後そのまま雇用することとなった。

当事業所では始めての障害者採用であったため、従業員には不安や戸惑いがあったが、それらは当人の仕事ぶりからすぐに払拭できたとのことである。


(2)障害者の業務、職場配置

採用当初から、週に5日間、月曜日から金曜日まで連続して出勤し、10時~17時の1日6時間勤務を継続している。当初、当人に9時からの勤務を提案したが、「朝は遅いほうが良い」との本人の希望もありこの時間帯となった。

出勤するとまず伝票のチェックから1日の業務が始まり、2時間程度はこの仕事を集中して行っている。伝票を分類ごとに分けて日にちごとに整理するという、一見すると単純で簡単な作業のようにみえるが、以前この仕事に携わった人の話では「慣れてくるとミスが頻発し、再チェックの際に手直しをすることもあった」というほど集中力を必要とする業務である。

しかし、支社長は「彼の集中力には頭が下がる思いだ。ミスが全くない」と高い評価をしている。仕事ぶりをみていて「仕事内容が障害者の能力(障害特性)にマッチしていることを強く感じる」といい、当人も「伝票の整理が一番得意であり好きな仕事だ」と自信をもって話している。仕事をしているところを見学させてもらったが、伝票を仕分けする手つきもとても丁寧で落ち着いて作業をしている様子が印象的であった。

伝票整理は午前中で終了することが多いため、午後からは1階の倉庫で伝票と品物が合っているか突き合わせて確認してから、品物を棚に納める作業を主に行っている。最近は倉庫に行くように指示をしなくても、自ら倉庫へ行って担当者に仕事の有無を確認するようになった。また、倉庫から事務所に戻ってきたときも「何かありますか?」と尋ねることができるようになり、特に指示がなければ倉庫に戻って進んで掃除を行うなど、臨機応援な対応もできるようになってきた。

事務所、倉庫の各部署の社員とのコミュニケーションは、言葉数は少ないものの業務上必要なやり取りは問題なくできており、支社長から「障害者と意識していないんですよ」という発言があったように、現場になじんで普通に仕事をしている様子が伝わってきた。支社長も社員も「コミュニケーションが少し苦手な人」だと理解しており、コミュニケーションを無理強いさせずに、自然体で接することを心がけている。


正確に丁寧に、伝票の処理を行う
正確に丁寧に、伝票の処理を行う

伝票と品物のチェックを行い、分類して棚に整理する
伝票と品物のチェックを行い、分類して棚に整理する


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