医療法人祐里会姉川病院

2. 取組の内容と効果

(1)取組の内容

雇用した障害者本人からは、障害があることで外出がおっくうになり自宅に閉じこもりがちになってしまったり、日常生活の不安や将来への不安などマイナスの面ばかりを考えるようになってしまうことで、精神的にも健康とは言えない状況になりがちであるが、就労することで日常生活が充実し、将来の目標も見出すことができるようになってありがたいというコメントも寄せられている。

当事業所の障害者雇用の取組みを紹介する。


  • ア 募集、採用、職場環境
    障害者の雇用に当たっては、ハローワークと連携し、トライアル雇用の受け入れも実施した。事業内容が医療・介護であることから、ほとんどの職種で専門資格を必要とするが障害の有無によって区別することなく、専門性を発揮することができる職種に積極的に採用している。専門資格を有する障害者を面談する際は本人の希望、適性等を考慮し安全に的確な業務遂行が可能であるか総合的に判断して雇用している。
    資格を有していない障害者の採用に関しては障害の特性能力等を考慮し配置先を検討する。事業所内に配置されている障害者職業生活相談員及び安全衛生管理者が配置先所属長と連携して他職員の理解、協力等が得られるように職場環境の整備に努めている。
  • イ 障害者の業務、職場配置
    • (ア)Aさん(肢体不自由)
      Aさんは、平成2(1990)年2月にハローワークの紹介により常勤正職員として採用した。院内保育所の保育士補助業務に従事している。
      当事業所の院内保育所は職員の子の保育を目的として平成2(1990)年2月に開設しており、当時の児童が今では成人し、その子どもたちが保育所を利用する例もあるなど、事業所とともに長い歴史を歩んできた。近年は0~1歳児8名、就学前の幼児10名の利用があるが、利用者数は今後増加傾向にある。
      院内保育所開設当初からのスタッフであるAさんは障害の状態にあることを感じられないほど子供たちの対応に真摯であり、子供たちからも慕われている。親である事業所職員からの信頼も厚い。

      Aさんの保育風景
      Aさんの保育風景
      Aさんの保育風景

      院内保育所外観
      院内保育所外観

    • (イ)Bさん(視覚障害)
      Bさんは当時の職員の紹介ではあったが、平成6年10月に常勤正職員として採用した。障害がありながらも資格を取得しており社会に貢献したいという申し出を受けて、当事業所の地域貢献を推進するという目的から雇用することを決定した。
      現在は通所リハビリテーションでの鍼灸マッサージに加えて、リハビリ助手として入院患者のトランスファー業務も担っており、効果的なリハビリを実施するためのサポート業務として幅広く活躍している。

      トランスファー
      トランスファー
      リハビリ助手
      リハビリ助手
      針治療
      針治療
      Bさんの業務

    • (ウ)Cさん(内部障害)
      Cさんは、平成22(2010)年7月に採用した。もともとハローワークの紹介で採用し、清掃業務に従事していたが、疾病により障害の状態となり、療養に専念するために退職となった。
      当事業所にて治療を継続していたところ、数年後には体調が安定したことで主治医である当事業所の理事長から就労復帰を勧められて再雇用に至った。
      復職後は施設管理部門に所属し、院内の清掃業務に従事している。事業内容が医療・介護であり、感染対策や転倒予防などの点で注意を要する業務であるが、細やかな気配りと的確な手技で清潔保持に大きな役割を担っている。マニュアルの手順にとらわれず、その時々の人の動きや気候・天候に柔軟に対応しながら快適な療養環境の維持整備にあたっている。

      Cさんの清掃業務
      Cさんの清掃業務
      Cさんの清掃業務

(2)取組の効果

障害の状態によって、日常生活活動への制限はそれぞれに違いがあるものの、当事業所は医療・介護サービスを提供する事業内容であることから、構造上の支障はさほど無いものと思われるため、障害者の就労環境としては必然的に整備されていると言える。

専門職である多職種が、それぞれの専門性のもとでの業務遂行を求められることは当然であるが、それら専門職スタッフがスムーズに業務を遂行し、より質の高い医療・介護サービスを提供するためには、専門職スタッフをサポートする役割も必要不可欠である。

労働条件において何らかの配慮を要する点はあるものの、障害の有無で区別することなく雇用を進めることで、当事業所職員全体の障害者雇用に対する認識を深め、また、業務の在り方を見直すことで当事業所の掲げる『やさしい病院』という理念に沿うものであるかどうかを確認する指標にもなっている。


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