社会福祉法人  日向更生センター  宮崎市養護老人ホーム  清流園

4. 今後の展望

自宅であればトイレ掃除などは週に1回程度で良いと思われるが、清流園の広い敷地にある全ての設備の清掃は毎日行われている。清掃は積み重ねで、しっかりやっていると建物の劣化のスピードも違うといい、12年目になる清流園の床は確かにきれいであった。また福祉施設では感染症が流行ると入園者の命に関わり、清掃業務はきれいにするだけでなく、漏れ無く消毒する作業が非常に重要になる。最近の清流園ではインフルエンザはほとんどなく、ノロウィルスも出ていないという。障害者を雇用し、その指導をシルバーの方が担うことで、職員を含め、それぞれが関わりを持ち、同時にそれぞれの力がうまく引き出された結果が現れている。

先に述べた聴覚障害者の清掃業務採用後に、福祉の仕事に興味を持ち、ホームヘルパー2級の取得を志願、そして実際に介助員として勤務することになったという例は珍しい。本人の努力が周りの人を動かし、清流園全体でバックアップしたことがうかがえた。また資格取得から介助員となるまで数年経過していることから清流園では慎重な検討が行われたのだろう。しかし、こういった意識の高い障害者に対し、ステップアップできる可能性を示してもらえたことは非常に評価でき、他の事業所でもこういった機会を増やしてもらいたい。

高齢化が今後ますます進み、養護老人ホームも現在の状況では、要介護状態の重度の入園者が多くなる。福祉施設等における人材不足も叫ばれる中、今回のように障害者の指導に福祉に対しての理解を持ったシルバーの方の雇用は、ますます複雑になる業務をこなす職員にとっても大きな支えになるように思われる。また、福祉の分野に限らず、意識の高い障害者を専門職として雇用することは事業所にとっても大きな力になるだろう。

執筆者: 宮崎公立大学  人文学部  国際文化学科  教授  辻  利則
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