障害者助成金活用事例  No.123

パソコン用音声読上げソフト導入による、視覚障害者への職域拡大の事例


1. 課題

(1)事業所の概要

社会福祉法人田尻福祉会  特別養護老人ホーム「かごぼうの里」は、宮城県の北東部に位置する大崎市田尻(旧田尻町)に設置された施設であり、「スキップ構想(保健・医療・福祉の連携)」として「福祉」を具現化したものである。

当該施設は地域における介護等を要する高齢者の「もう一つの我が家としてその人らしい生活」の実現を目指し、「保健」として大崎市田尻保健福祉課と「医療」として大崎市民病院認知症対策室及び田尻診療所の連携により、平成10(1998)年4月10日に開設した。現在の入所状況は個室40室を含め55室70名となっている。


(2)対象者Aさんの雇用に当たっての事業所が抱えていた課題

Aさんは旧田尻町職員として在職中に中途障害により平成12(2000)年に視覚障害1級と認定される。その後、仙台市内の盲学校で鍼灸及びマッサージ師の資格を取得。平成15(2003)年4月に機能訓練指導員として当事業所に採用される。機能訓練指導員は入所者の機能回復訓練及びその記録等を作成することを業務としており、訓練記録等の作成にはパソコンの使用が不可欠である。しかし、視覚によるモニターの確認が困難であるため、一般的な仕様のパソコンでは訓練記録やそれに付随する資料の作成ができないことが課題であった。


2. 課題解決の取組み

このような中で、Aさんから、画面音声化ソフトウエアがインストールされたパソコンを活用し、入力情報を音声により確認することができれば訓練記録等の作成が可能であるとの提案があった。これにより、機器の整備について検討していたところ、まずはその効果を確認することになり、就労支援機器貸出し制度(「就労支援機器等普及啓発事業」)の紹介を受け画面音声化ソフトウエアがインストールされたパソコンの借入れを行った。

実際にAさんが支援機器を6ヶ月間業務で使用した結果、入所者の機能訓練及び訓練記録を作成する業務を効果的かつ効率的に遂行できることが確認でき、今後の職務における活用が十分有用であると判断できた。

就労支援機器貸出し期間終了後の機器購入、整備にあたり、障害者助成金(第1種作業施設設置等助成金)を活用し機器の整備を行った。10年後の平成25(2013)年に、パソコン動作が不安定になったことから、当該支援機器の更新をするため、2回目の第1種作業施設設置等助成金の申請を行い、画面音声化ソフトウエアが助成金対象として認可され整備費の一部助成を受けた。


3. 取組みの効果

当該支援機器等が導入されたことにより、Aさんが入所者の記録等を作成することが可能になり、機能訓練指導員として継続就労することが可能になった。

Aさんは当該支援機器を活用し日々の訓練記録の作成や介護保険申請に必要な個別機能訓練計画の作成、実施、評価、集計等一連の作業、理学療法士との電子メールによる連絡、さらに家族への状況報告書の作成等も1人でこなしており、いなくてはならない存在となっている。

また、正職員(8時間勤務)として勤務に励む一方、陸上競技に取組み、IBSA(注)主催の世界選手権大会出場を果たすなど公私両面にわたり何事にも前向きに取り組む姿勢は、事業所内従業員の手本になると共に他の職員へのおおきな刺激となっている。

(注)国際視覚障害者スポーツ連盟


4. 活用した助成金

障害者作業施設設置等助成金(第1種作業施設設置等助成金)


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Aさん
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事業所外観


協力事業所:社会福祉法人田尻福祉会
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